title02.jpg

ぶらりごろりぱくり

母の名はエリカ。

20170407_052.jpg

彼女は国東半島の天拝という山の上で3匹の子を産んだ。
1匹はどんな理由でか分からないが死んでしまったらしい。
残った兄妹を連れて山で暮らしていたら、
或る日、見たことのない怪しげなおっさんとおばさんに出会った。
そいつらは東京からやって来た子供のいない夫婦で、
なんでだか知らんがご飯をくれた。
毎朝、毎夕、その家の前へ行くとカリカリが皿に盛ってある。
たくさん食べたんで鼻水を垂らしていた2匹の子猫も元気になって、
日に日に体が丸くなっていった。

あの冬から6年が経った。
この春、海を越えて国東から届いた便りによれば、
エリカは今、他の猫が産んだ子猫を育てているそうだ。
野良仲間で猟犬に噛み殺されてしまった猫がいるというから、
もしかするとその死んだ猫の子なのかも知れない。
国東ではエリカにも不妊手術をしたからもう子供は産めないし、
6年前に自分が産み育てた兄妹のことも忘れてしまっただろう。
けれど彼女の中の母性は、今も潰えていなかったんだな。
義兄さんがたくさんご飯をくれるだろうし、
これから暖かくなるから子猫も元気に育つと思う。
エリカが6年前、最後に産んだ娘。名前はしましま。

20170407_009.jpg

いつまで経っても一番チビで、一番痩せっぽちでくるくるパーで、
兄ちゃんや姉ちゃんたちに咬まれたり踏まれたり枕にされたり。
でも、なあエリカ。
海を渡って伊豆までやって来たお前の娘はこんなに元気だ。
声も、毛色も、緑の眼も、お前そっくりの美人になった。
6年前みたいにもう一度母娘が並んだところを見てみたいけれど、
それはもう叶わぬ夢だろうな。

ママに捧げる詩 (Mother Of Mine) - Neil Reid




SKIN:Babyish-