title02.jpg

ぶらりごろりぱくり

卯の花月の宵。

20160402_158.jpg

狭い狭い僕の部屋から外へ通じるおんぼろの戸に、
ネコたちの通る小さなドアがついている。
陽が落ちて暗くなるとそのドアの前へ小さなランタンを灯す。
夜目の利くネコたちには灯りなんて必要ない。
誰が帰って来たのか分かるよう人間の為に灯す。

20160402_116.jpg

夕ご飯を食べると三々五々散って行ったネコたちが、
ひと遊びして一匹、また一匹と帰って来る。
暦が四月に変わってもまだまだ冷える山の麓。
八時を回って最後に帰って来たのは長男のしま兄。

20160402_146.jpg

「どこへ行ってきた?」「何して遊んできた?」
しま兄は僕を見上げ、ちょっと皺枯れたいつもの声で何か答える。
太っちょの身体は冷え切っていて、暖かいパネルヒーターの前を離れない。
五分ほど身体中を撫で回してやると満足して横になり、
横になったかと思うと途端に鼾をかき始める。

20160402_136.jpg

ネコたちが寝たら大人は久しぶりに「やまも」のケーキ。
おっちゃんの作る昭和な生クリームも、
胸にウッと来るコーヒー風味のバタークリームも、
遊び疲れたしま兄の鼾も寝言も寝相の悪さも、
寒空の下でじっとお日様を待つ桜の蕾も、
さながら霞める朧月夜。

Marianne Faithfull - Dreaming My Dreams




SKIN:Babyish-