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ぶらりごろりぱくり

信州へ行ってきた。
伊那谷から見上げる山々が色づいてきれいだった。

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権兵衛峠は閉鎖されていた伊那側だけでなく、
木曽側から登っても峠の遥か手前で通行止めになっていた。
錆びた武骨な鉄骨が塞いだ峠道。
季節を重ねればこのまま廃れて、かつての往来を蔓草と萱が覆い、
人々の記憶の中にある道も忘れ去られてしまうんだろう。

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この蕎麦屋にも十年という時が確実に痕跡を残している。
僕は傾いた床に置かれた椅子で斜めになりながら蕎麦を食い、
傾いた柱と、傾いた天井を見ながら蕎麦湯を飲んでいた。
窓際のテーブルに座っていると、
目の前を流れる小沢川という川の水音が聞こえる。
それは中央アルプスの雪解け水を湛えた豊かな清流だ。
いつかこの店が暖簾を下ろす日が来ても、
いつかこの町がどんな風にか変り果てる日が来ても、
あの稜線と、そこから流れ出す雪解け水は変わらんだろうと思う。

年に二回、友人たちと会う。
酒を飲まない僕はただ黙って彼らの話を聞いている。
豪快に酒を飲み、豪快に話す内容は十年間ほとんど変わらない。
それを年に二回、僕はバンガローの壁にもたれて聞いている。
僕はなぜ年に二回あそこへ出かけるのか?
それは自分の生存証明なのかも知れない。
半年生きて、また皆の顔を見て、そしてまた半年後に。

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十年。
僕の何かは変わったろうか? それとも変わらずにいるだろうか?
なんてこと考えながら帰ってきた。

Janis Ian - Stars




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