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ぶらりごろりぱくり

セミは7年間を土の中で過ごし、地表に出たら7日間で死んでしまう。
その壮絶な下積み人生の長さを人間は儚んだり感心したりする。
けれど、実はセミの生きる本来の生涯は土の中で過ごす7年間にあるんじゃないのか?
というような素朴な疑問を誰も抱いたりはしないんだろうか?

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人間はとかく自分たちの価値観で全てを測ろうとするが、
朝起きて、メシを食いながら遊んだり働いたりして、暗くなったら寝てしまうお前ら人間の
世界観がすべてだと思うなよ? とネコやアリや鳥や魚は思っているだろう。
それどころかたったの十月十日で世の中へ放り出され、あとは気の遠くなるような年月を
生きる為の算段や試練と格闘している人間の生涯の方がよほど悲壮で壮絶かも分からん。

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ネコやアリや鳥や魚はなんとかブランドのバッグや腕時計やゴルフクラブを欲したりしないし、
旅行やコンサートやスポーツ観戦に出かけたいとも望まない。もちろんセミだって同じだ。
彼らとて決して無欲ではないがさりとて強欲ではない。
セミの幼虫は導管液という樹木の中に流れる水を吸って生きているんだそうだ。
んで、この導管液ってのは微量のアミノ酸が含まれているものの、カブトムシやクワガタや
セミの成虫が吸う栄養豊富な「師管液」とは比較にならんぐらいただの水でしかない。
だからセミの幼虫はじっと動かずにひたすらその水を飲みつつ7年間を過ごす。
曰く、世の中に寝るほど楽はなかりけり、知らぬ阿呆は起きて働く。

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そして生涯の最後のたった7日間だけ渋々と地中から這い出て子孫繁栄に精を出す。
地中よりも地表の方が幸せだと思うのは人間の無知に過ぎん。
じっと土に抱かれながら水を飲んでゴロゴロ過ごす。
無欲は時を黄金に変える錬金術に他ならない。
僕はネコを見る度にそれを思い続けて来たけれどセミはネコよりもさらに達観している。
セミよ、僕はお前を見習いたい。




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