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ぶらりごろりぱくり

ネコが時々部屋の或る一点をじっと見つめている。
それは大抵の場合は壁にとまった蛾だったり、柱を這い上がる蜘蛛だったりするけれど、
ごく稀に何もない天井の隅や窓の外に視線を注いで微動だにしない時もある。

以前、2ちゃんねるに「ネコが見ているもの」というスレッドがあった。
これはネコと暮らしている人になら誰しも経験のある事だと思う。
虫でもなく、埃でもなく、置き忘れた羽細工でもなく、彼らはいったい何を見ているのか。
僕は超自然という言葉で指し示されるようなものを積極的に肯定もしないが、
かといって頭ごなしに否定するつもりもない。
ただこの歳までそれを信じる理由や否定する理由を見つけられなかっただけだ。

数日前うちの二階へ上がる階段の下で、帰宅したひでじの頭を撫でていた。
「今日はどこへ遊びに行ってきた?」と話しかけながら怪我がないかボディチェック。
ひでじは僕の顔を見上げ、それから僕の肩越しに視線を止めた。
振り返ってその視線の先にある壁を見ても虫や置き忘れの玩具はない。
ああまたか、と思っていると、ひでじがゆっくりと目で何かを追い始めた。
他のネコたちより一回りも大きいひでじの顔が、
釘付けになった視線に合わせて或る物をトレースするように動いている。
僕にはその角度と移動していく方向が、
自分の背にした二階へ続く階段だとすぐに分かった。

時間にしてほんの3秒か4秒。
ひでじは喉を鳴らしながら頭を僕の掌に擦りつけると、
それで気が済んだのかどこかへ行ってしまった。
ひでじは何を見ていたんだろう?
猫が見ているもの。

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