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ぶらりごろりぱくり

昨年の夏前までこの家に住んでいた先住者の奥さんが訪ねてきた。
黄色のクリスマスローズが咲いたら一株分けてくれと前から言われていたのだ。
庭にある大きな枝垂桜の根元には、
二十数年生きてこの家で亡くなった先住ネコさんが眠っている。
奥さんはその墓に持って来た花を供え、
代わりに薄黄色のクリスマスローズを一株掘り返して持っていった。

御主人は? と訊ねた。
家を見ると寂しくなるからと来なかったらしい。
何年も放置されてジャングルのようになった庭を切り拓いたのも、
古い家のあちこちに残る造作を加えたのもみんなご主人だ。
どうしてこの家を手放す事になったのか本当の理由を僕は知らない。
けれどそれが本意でなかったことだけは家を見に来た時に聞かされた。

僕も今までに本意でない引っ越しを二度だけした。
だから家を見ると寂しくなるという御主人の気持ちがよく分かる。
多分、その寂しさを埋めるのは時間を積み重ねるしかないと思う。
人は慣れるものだ。
そして人は慣れたことすら忘れてしまうものだ。

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初めて不本意な引っ越しをしたのは十二歳の時。
転校して友達がいなかった僕は親父に貰ったラジオばかり聴いていた。
今でもこの歌を聴くと、あの山の上の団地を思い出す。
うーん、懐かしいw

Michel Polnareff - Love me, Please Love Me




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