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ぶらりごろりぱくり

四年近く前の初夏に東京から大分へ引っ越した。
大分県民になったその日、僕が覚えているのは青い空とホトトギスの声だ。
夏になって気温がじわじわと上がり始めた頃、
二匹の兄妹を連れた若い母ネコが庭先へやって来た。
それから毎日二回カリカリを運んだ。
臆病者の兄は五ヶ月経って頭に触らせてくれた。
小さな妹を抱き上げるまでには更にもう四ヶ月かかった。
母ネコはとうとう最後まで心を許してはくれなかったのかも知れない。
ビビり屋の兄は三男。小さな妹はうちの末娘として家族になった。

今夜、外に置いた寒暖計は2.1度。
明日の朝は伊豆でも氷点下に違いない。
ここいらには野良や半野良のネコがたくさんいる。
彼らは少しでも暖を求めて空き家や段ボールを探すだろう。
それでもあとひと月を乗り切れば春の足音を聞けるだろう。

四年前、掌に乗りそうだった小さな妹は体重が3キロ半にまで増えた。
しましまはこの頃僕のひざ掛けに潜り込んできて寝る。
この世に生まれ落ちたネコたちの運命を決めるものはなんだろう?
片や氷点下の朝に硬く身を閉じてじっと寒さを堪え、
片やストーブと羽根布団のある部屋で兄弟たちと寄り添って眠る。
たとえ一等賞や二等賞ではなかったとしても、
我が家のネコたちは宝くじに当たったようなものなのか?
僕はもう何年もToTo Big1を買い続けているがさっぱり当たらん。

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大分弁で何かに触ることを「あたる」という。
それは僕が3年半で覚えた数少ない大分の言葉だ。
しましまやくつしたの身体に触れられたことが、
今思えば僕にとっての当たりだったのかも知れんな。




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