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ぶらりごろりぱくり

都会人面した人たちから全国で一番よい田舎だと決めつけられた山梨県。
甲府美人国語教師の先生いかがお過ごしでしょうか? (´・_・`)

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ごくごくたまにですが、どうして大分県へ移り住んだんですか? とか、
どうして伊豆を選んだんですか? みたいな事をメールで聞かれる事があります。
そういう問いなら話は長くなるけれど答えられない問いではないです。
でも、やっぱり田舎暮らしですよね? という感じで半ば同意を求められると、
いや別にそういうのってどうでもいいですと憎まれ口を利きたくなる。

僕は以前にもどこかで書いたけれど、田舎暮らしってのは「自分探しの旅」と同じくらい
予定調和の様式美、もっと意地悪に言えば安直な「ごっこ」でしかないと思う。
だからこれから田舎暮らしをしたいと望んでいる人に出来るアドバイスがあるとしたら、
本当の田舎暮らしというのは家庭菜園や、ウッドデッキや、暖炉や、薪ストーブや、パンや
ピザを焼く窯に飽きた時、ようやっと始まるものなんだろうな? という事ぐらいです。
だって山梨県や長野県や岡山県で普通に暮らしている人の家に暖炉や、薪ストーブや、
パンやピザを焼く窯なんてないだろw

僕とカミさんとネコたちが大分県の本格的僻地から引っ越して来たのは、伊豆半島にある
いわゆる「分譲別荘地」というところだ。
けれど開発が始まったのは40年以上前の大昔だから、今は別荘地としてよりも分譲住宅地
としての色合いが濃い。
古い別荘地の家を別荘として使っているのは、当然の事ながら概して金回りの良さそうな
人々。週末に乗りつける車はメルセデス、BMW、レクサス、あるいはローバーやチェロキー
なんぞの大型四駆。庭には薪が積み上げてあり、家屋の外観からしてヤル気満々。そして
当然の如く庭でバーベキュー・パーティ。
そんなにお金があるなら遊び方や道具の選び方にもう一捻りあっても良さそうだと思うのは、
きっと僕の醜い僻みや妬みや嫉みなんだろう。
けれど「田舎暮らし」なんて言葉を軽々しく口にしながら自己陶酔する人は、その趣味趣向
という点に於いて週末に訪れる別荘組と基本的には同じ立ち位置にいるのだと僕は思う。

一方定住組はというと、我が家の近隣では概ね質素でひっそりと暮らしている人が多い。
伊豆辺りじゃ本格的な田舎暮らしなんぞを望むべくもなく、眼の色を変えて野菜を作る人も
見かけなければ、暖炉や薪ストーブで日常的な暖をとる酔狂な人もいない。
もちろん庭の窯でパンやピザを焼いたり、桜のチップで燻製を作ったりする人も見たことない。
車は軽自動車か小型大衆車ばかりで、誰もが静かな土地で細やかに暮らしている。
全ての別荘定住者がそうだとは思わないけれど、少なくとも我が家の周囲は誰もが竹箒で
落ち葉を掃き寄せる姿の似合う穏やかな人ばかり。
山梨や長野や岡山で普通に仕事をし、普通に暮らしている人となんら変わりはない。
つまり住む土地が変わったからと言って生活様式まで変える奇態な人はいないという事だ。
東京では常に迷惑な隣人に悩まされ続けてきた僕にとって、物静かな隣人たちに囲まれた
ここでの暮らしは何にも替え難き安息だと思う。
実際に住んでみて感じる分譲別荘地の特筆すべき点は僕にとって二つ。

※作り物とはいっても伊豆箱根国立公園内だし、元が原生林みたいな場所だったから
住環境は静か。そして季節感が溢れていて美しい。
国立公園内は地域を特別保護地区、第1~第3保護地区、普通地区の5段階に分けて
開発制限を設けている。我が家がある第2保護地区にも景観保全上色々な制約があって、
各戸の敷地を囲うのは生垣か低いフェンスと決められているらしい。
故にブロック塀とかは見当たらない。
また一切の商業広告や下品な建築物に汚染されていないのがいい。
けれどその代償として町全体に生活感の欠落があると思う。つまり下町や田舎町が持つ人間
臭さというか、古びた水原弘や由美かおるの看板みたいな温か味はほとんど感じられない。
でも別荘地を一歩出れば、周囲には延々と古い集落が続いていて心和む。

※近所づきあいが都会的。
田舎にありがちなオラが村的コミュニティがなく、近所同士仲良くはするが必要以上に
干渉しない。その辺の匙加減は都会から来た人ばかりだからよく弁えている。
隣人との干渉度は都会以上田舎以下という絶妙なところか?
防犯訓練は年に幾度かあるらしいが地域総出の一斉清掃みたいなものは無く、
もちろん酒を呑む口実の為だけに執り行う意味不明な行事も皆無。(コレ重要)
自分の家の周りは自分で掃除し、定住でない家の周囲は管理会社がやる。
道路の補修や街灯の交換など面倒な事は全て管理会社がやってくれる。
ただしその辺は別荘地ごとの管理体制によって違ってくるんで一概に良い悪いは言えん。
ちなみに我が家の開発管理は伊豆急で管理費は年間1万数千円です。

加えてもう一つ。
すべての分譲別荘地がそうであるかどうかは分からんが、少なくとも我が家の周囲では
犬猫に対する住民感情がすこぶる親和的だと思う。
ニャンコやワンコに対して、或る意味非常に冷淡で無慈悲な東京の人口密集地とド田舎の
両方を経験した僕にとって人口密度の少なさと、おそらく住人の8割以上を占めると思われる
小動物との同居率が醸し出す雰囲気は独特のものだ。
たとえば僕が毎朝の散歩で出会う人の名前は知らなくても、連れているワンコの名前は
ほとんど知っているという訳の解らなさがそれを象徴していると思う。

そもそも伊豆が田舎なのか? という定義の基準は人それぞれだ。
東京から見れば確かに田舎だろうが、大分県の国東から見れば明らかに都会寄りだと言える。
じゃあ伊豆の魅力はなんなのか? というと、実は海とか温泉とか魚介類なんかじゃなく、その
文化的地理的な中庸さなのかも知れない。
僕には誰かの為になるような話など出来ないけれど、
次は伊豆(伊東市)という土地の住み心地みたいなものも書いてみようと思う。
特に自分が知りたくてもネットに転がっていなかった事なんかを。




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