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ぶらりごろりぱくり

1月10日は「伊東の日」なんだそうな (´・ω・`)
で、伊東市内の様々なお店や施設で催しが行われるんだが、
伊東市民であれば伊豆シャボテン公園が入園無料というので行ってきた。
大室山を挟んでうちの丁度反対側。車で5分というところ。
昭和37年以前に生まれた男の子ならシャボテン公園と言えばウルトラマン第20話、
「恐怖のルート87」 つまり高原竜ヒドラだw

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長く東京に住んで子供時代には家族と、高校生以降は友達と何度も伊豆へは来たが
シャボテン公園に足を運んだ事はなかった。だから高原竜とも感動の初対面。
おお、まさに大室山を背にしたあの高原竜ヒドラではないか。

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毎年冬季だけ行われるカピバラの露天風呂ってのが人気だそうで、カミさんもそれが
見たかったそうな。
朝10時半になると風呂の周りには人垣が出来始め、湯気の立つお湯が張られると
お客様の興奮も一気に高まります。
やがてお湯に気づいたカピバラが一匹、また一匹とナイスな風体でお湯へ浸かれば、
もう誰もが手にしたスマホやカメラを力の限り突き出して見せる。

「カピバラくんたちは長湯ですから、見えにくいお客様はしばらく経ってから来て頂ければ
もっとお近くでご覧になれますよ~」という飼育係のオネーサンが言うとおり、30分ほど
ぶらぶらしてから戻ってみると、もう露天風呂の周りはぽつぽつと人がいるだけだった。

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空いた柵へもたれる僕の隣に二人連れの母娘がやって来た。
娘の方は中学生。いやもしかすると高校生かも知れん。
よく言えば真面目そうな、悪く言えば垢抜けない娘さんとその母親。
やっぱり例に漏れず母子してスマホをカピバラくんたちへ突きつける。
そして多分、娘の方がその写真をどこかのSNSへ流したんだろう。
「わっ! めっちゃたくさん友達から返信来た!」
と歓声を上げるなり真面目で垢抜けない娘さんはその対応に没頭し始めた。
当然の事ながらもう目の前のカピバラくんには見向きもしない。
お母さんに促されて露天風呂の前を離れてからも手にしたスマホを覗き込んだきり。

もし今夜、彼女のスマートホンから何かの間違いでカピバラの写真が消えてしまったら、
彼女はあの露天風呂に何匹のカピバラが入っていたかを答えられるだろうか?
ちょっと真面目でちょっと垢抜けない彼女は、カピバラがとぼけた表情で風呂に入るのを
見る為にやって来たのか? それとも呑気に露店風呂へ浸かるカピバラを見に来た自分、
という既成事実を作り、それを誰かに告げたくてやって来たのか?
僕にはよく分からない光景だった。

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1966年に金城哲夫が書いた恐怖のルート87は、交通戦争で犠牲になった子供たちの魂が
高原竜ヒドラとなって、国道87号線を走る車に復讐するという脚本だった。
あれから48年が経った今、子供も大人も魂を掌の携帯端末へ売り渡し、全ての記憶や
全ての人間関係は一枚のちっぽけなメモリーカードの中にのみある。
目の前で露天風呂に浸かる可愛いカピバラは心癒す光景ではなく、自分の日常や行為を
他者に顕示する為の材料でしかない。

伊豆シャボテン公園は昨年で開園55周年を迎えたそうだ。
石の高原竜は今や鳥の糞にまみれ、もう空を飛んだりウルトラマンと戦うことはない。




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