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ぶらりごろりぱくり

三日前の明け方。夜明け前の午前3時くらいからずっと仔猫の声がしていた。
ミャオ! ミャオ! という捨てられた子猫特有の腹減ったモードの声。
うちの4匹を拾った時も、しま兄が同じ鳴き方で誰かを呼び続けてた。
仔猫の声は真っ暗闇の中をゆっくりと移動しながら明るくなるまで聴こえていた。
朝の散歩から帰った時、鶏舎近くの茂みの中から声がする。
数年前、くつしたとしましまの兄妹に食事を与えていたビニールハウスの近く。
カミさんが茂みをかき分けて入って行き、一瞬だが姿を見たそうな。
灰色の仔猫。見立てでは生後二ヶ月。
そのくらいの仔猫で人を見て逃げるって事は捨て猫じゃないと思う。
人に飼われていたなら二ヶ月じゃまだ人見知りする以前だ。という事は野良だろうが、
そんなちびネコが一匹でウロウロしているなんて親はどうしたんだ? 逸れちゃったか?

冬じゃないから凍え死ぬ心配はないし、雨風を凌ぐ所はいくらでもある。
そのビニールハウスから北へ50m歩けば養鶏の管理小屋があって、
そこではエリカをはじめとした4匹のネコを飼っているからドライフードにありつける。
どこから来たのか知らないがもう大丈夫。ここいらに住み着けば生きてはいけるぞ。

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ビニールハウスの隅にレトルトの仔猫用フードと水を用意した。
朝と夕方に行くと魚の水煮はキレイになくなっている。
誰が食っているのかはまだ分からん。なんたってこの一帯には分かっているだけで
10匹のネコが住み着いているネコ牧場なんだからw
だけどあのミャオ! っていうお腹空いたモードの悲痛な声は止んだ。
何を食っているかは分からないけれど空腹でなくなったのだけは確かだと思う。

毎朝毎夕ゴハンを運ぶ。
エリカとしましまとくつしたの家族にそうしていた頃を思い出す。
けれど僕は一度も仔猫の顔を拝んでいない。
ただ時々生い茂った草の中から、ビニールハウスのどこかから、
ミャッって声が聴こえるだけだ。
その小さな声と、空になった皿が生きている証に違いない。
顔も知らずにゴハンを運び続けるのは不思議なかんじ。
けれど僕やカミさんの足音を覚えてくれて、それが聴こえたらゴハンだと分かれば、
いつかは出て来てくれるかも知れないな。




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