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ぶらりごろりぱくり

昨夜は友遠方より来る。
愚痴を言って愚痴を聞いて、淡々とした良い夜でした。
別府の山の上にある旅館に泊まって、夜明けにはこんな景色が見える。

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最初に部屋へ案内された時、「この橋がちょっと残念ですね」と言ったら、
明治創業だという旅館の人が、「あの橋は出来た当時アーチ型ナンタラ工法の橋では
日本一の高さだか長さだかで、この地域の組合はそれを地元のシンボルとして
観光名物の一つにしたんですよ」と教えてくれた。

僕は今朝早く、まだ友人が眠っている間に起き出して煙草をプカプカしながら、
そのなんとか工法アーチ橋の向こうに広がっている別府の景色を眺めていた。
たとえばこの橋を設計した人や造った人たち、あるいは金を出した道路公団の人たちに
とって、こういう写真は満足のいくものなのかも知れない。
だけどこの旅館を最初に建てた人は、もしこんな橋があったらここを選ばなかった
ように思えてならない。
この橋が造られると決まった時、それが日本で二番目や五番目のナンタラ型橋
だったら、地元の旅館組合は反対したんだろうか? 日本一だから許したんだろうか?
実はそうではなくて、反対しても無理だから日本一を逆手にとって売り物にしたのか?
なんて事を寒い中考えていた。

大分県には「夢の吊り橋」というのがある。
これもなんだか知らんけど、高さか長さか作り方だかが日本一なんだそうな。
で、何事も雄弁に語る義兄さんの話だから半分くらいはウケを狙った道化かも
知れないが、この橋はただただ日本一の定義を満たす為だけに造られたらしい。
橋の向こう側には何もなく、その谷に橋を架ける必要など無い。
つまり橋本来の機能は全く微塵も全うしていない吊り橋なのである。
一体なんでそんな馬鹿げたものを作ったのか? というと観光=金儲けの為であって、
何の役にも立たない橋を十億円で造り、物珍しさで来た人が払う入場料が十三億円に
なればそれでメデタシメデタシなんだという。
僕はそういう商売を否定する気はないけれど、なんというのか、
じゃあこの、機能的価値ゼロの橋が日本で二番目三番目に成り下がった時、
その存在価値はどうなるのだろうと考えてしまう。

金閣寺も、清水寺も、網走刑務所も、明石海峡大橋も、東京タワーも、
かつて或る時期には某かの理由で日本一だったのかも知れない。
技術の進歩と共にやがて日本一だった数値が後発の誰かに塗り替えられても、
金閣寺も、清水寺も、網走刑務所も、明石海峡大橋も、東京タワーも、
そこに内包された機能が真っ当であったからこそ建築物としての価値を
現在も維持し続けているのだと僕は思う。
だけど十億で作って十三億の入場料を取る為だけの橋に真っ当な機能は無い。
だからその吊り橋はいつの日か、維持費を捻出出来ない誰かによって捨てられ、
危険だという理由で壊されるような気がしてならない。
それがビジネスなのだと言われればそれオシマイだけど、
僕自身はそんなビジネスにお金を払う価値が見いだせないと思うだけです。

僕が夜明け前の別府湾を見ながら考えていたことは、
日本一ってのはそんなに価値のある事なんだろうか? ってこと。
正直言ってわからん (´・ω・`)

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山梨からおいしいお菓子をお土産にもらった。これうまいわ。
だけどおいしいお菓子より、日本一のなんたらアーチが見える宿より、
僕にとって価値があるのは九州くんだりまで会いに来てくれる友達だ。
年が明けたら僕が行くからなー。




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