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ぶらりごろりぱくり



黄金週間を前に国東はもう新緑の季節。
家も道もネコたちと暮らした思い出も緑が覆い隠す。
もう世界中が「緑!」というかんじ。
やっぱり緑の世界には赤い車が似合うよね。
銀色の車はスーパーの駐車場で探すのに苦労するよ。

国東へ来てからまだ鹿の姿を見かけない。
緑溢れて食べるものさえ足りていれば、
彼らも人間の近くへは近づいて来ないんだな。
そういう意味で春は思いやりに満ちている。
春うらら。


この空の青さと高さと広さが国東。
春の空はいつも霞んでぼんやり。
でも伊豆にはない満天の碧。

一歩家を出れば山の中。
草の陰や廃屋の中から、
ネコたちが駆け出して来そうな気配。
我が家の6匹の生まれ故郷。
あいつらはこの山で育ったんだよな。
この山を走り回って大きくなった。

故郷は遠きにありて想うものなり。
国東2日目の朝。


想夫恋と書いて読める人や分かる人は少ないと思う。
大分に来たら恋夫想の焼きそば。
宇佐神宮よりも湯布院よりも日田の焼きそば。

一年振りでIさん夫婦にも会った国東参り。
あとはやっぱりからあげだろうな。
ネコたち、留守番たのんだぞー。


エリカも、ブチも、クマも元気だった。
でもカメラを用意する前に逃げられちゃうんだ。

義兄さんがネコたちに対して愛情深くなったらしく、
食事と寝床を屋内に用意してあった。
これなら長生き出来る。

新入りの雌が子猫を四匹産んでいて、
子猫たちはもう里親が決まっているそうだし、
そのうちママ猫にも不妊手術をする予定だという。
いったい義兄さんに何が起きたんだろうかw

新たなるネコ王国誕生の予感。


大分県に来たらみどり牛乳。

風呂から出て、
みどり牛乳片手に窓の外を見ていると、
腰ほども伸びた草むらや杉林から、
六匹のネコたちが飛び出して来そうな気がする。

でも彼らは千キロの果て。天城の麓。
みどり牛乳は思い出の味。
おいしいや。
昨年の今日、ネコたちを連れて降りた山に帰ってきた。
そこいらの草むらから、当たり前の顔でネコが出て来そうな気がする。

一年ぶりでIさん夫妻とも会って楽しかったなあ。
なんというのか、自分の身を自分の場所にきちんと置いていれば、
この土地を客観的に見て色々考えられる。
僕はここに住んでいた三年半の間、
そういう冷静な目で自分の周りを見ることが出来なかった。
あの三年半はなんだったのだろう? という問いは、
もう問う事自体が無意味になってしまった。

今の僕にとってはネコたちとの思い出だけが残る山。
そうだよ、それで十分じゃないか。


ようやく荷物が届いて、これで引っ越しイベントはおしまい。
みなさんお疲れさまの五日間でした。

もう明日からは訪ねてくる人も業者もいなくなる。
ネコたちも少しずつ新しい家で平静を取り戻すだろう。

一ヶ月かけて箱詰めした荷物だから、
一ヶ月かけて荷解きをすればいい。
焦ることないよな。
遅い昼飯を食いに近くの道の駅へ出かけた。
千円のチャーシュー麺を食って、とても千円の価値はなかったけど、
スープも麺も白ネギもメンマも、
紛う事なく関東の味がした。
僕は戻って来たんだとしみじみ思った。

明日はパソコンをネットに繋ごう。
携帯で文字を打つのはどうもいかん。


風呂の中でうつらうつらして夢を見た。
別府の商店街を歩いている夢で、
不意に目が覚めて、いつ大分へ帰るんだっけ?
と一瞬考え込んでしまった。

風呂から上がった今も、ここで数日逗留したら、
また六匹のネコを車に押し込んで帰るような気がする。

先週雨で中止になった草刈りが明後日ある。
町内の皆さん。
僕は旅行でここへ来たんじゃなかった。
僕はもう、国東へはもどらないんだった。


出発3日前になって引っ越し屋の若い営業さんが手配ミス。
本当は今日着く筈だった荷物が明日になった。
久々にパソコンもネットもない昭和な暮らし。
かつては毎日がこうだったよな。

なんぞと思うと、
ネコが生きる悠久の時に近づいたような気がする。

半世紀前。
オリンピックの日。


二日目の夜がやって来た。

ビビって押し入れに隠れていたくつした。
空腹に耐えかねたのか抜き足差し足。
もうあの山へは帰れんのだぞ。
虫の声しか聴こえない静かさは同じでも、
窓の外はお前たちの知らない世界なんだ。
転入届けを役所に出したから今日付けで晴れて静岡県人。
三年間お世話になった大分のみどり牛乳から、
今度は駿河の名品丹那牛乳へ。

六匹がんばりました。
SKIN:Babyish-